奥秩父主脈縦走

GWに奥秩父主脈縦走に行ってきました。ルートは以下の通りです。
1日目
瑞牆山荘に到着して、まず登山口を見失いました。登山は登山口を見つけるのが一番難しい... そんな冗談を思い浮かべながら登山口を見つけました。
初日は夕方から雨予報だったため、雨が降るまでには大弛小屋に着きたいと思いながら登りました。
序盤は地道な登りが続きます。前日までに体に蓄えられたエネルギーを消費しながら登っていきます。標高を上げると途中から少しずつ残雪もありますが、アイゼンなしでも問題ないレベルです。山頂が近づくにつれ岩場も多くなってきます。
山頂付近ではこれぞ縦走!と言いたくなるような、僕好みの稜線があります。しかし風が猛烈に強い。強風に煽られて倒れないように気をつけながら進みました。帽子は一度飛ばされ、拾うのに一苦労しました。
金峰山の山頂。おそらく金峰山を登ったのは今回が初めてなのですが、素晴らしい山だなと思いました。登り甲斐があり、眺望も良い。他の人にもおすすめしたい山として自分の中に記憶されました。
ここから大弛峠へ向かいます。道中は残雪と泥道が交互に現れます。チェーンスパイクを装着するか迷いながらも慎重に進んでいたところ、途中で出会ったご夫婦に「持ってるならつけたほうが良いよ」とアドバイスを頂き、素直に装着しました。おかげで足元が安定し、無事大弛小屋に到着することができました。ここにテントを張ります。
時間は15時を過ぎていましたが、まだテントは少なく、余裕を持ってはることができました。雨予報の中わざわざテントをはるのは物好きくらいかな... などと思いましたが、時間が立つにつれ徐々にテントの数が増えていきました。後から知ったのですが、雨だったために小屋泊に切り替えた人もいたそうです。
2日目
4時半頃に目覚めました。外は予報通りの雨です。この日は笠取小屋、できれば将監小屋まで進みたい。しかしそこまで進む場合、かなり早出する必要があります。天気予報では7時頃から曇り。7時なら待っても良いかなという気持ちもありつつ、7時出発の場合、笠取小屋まで進めるか怪しいです。笠取小屋まで進めない場合、選択肢は以下になります。
- 3日目に相当頑張って鴨沢まで一気に下山する
- 3日目に雲取山を登るのを諦め、途中でエスケープルートに進んで帰る
- もう1泊増やして4日目に帰る
どれも悩ましいです。1は体力任せなところはあり、コースタイムをかなり巻く必要があるため、リスクが高いです。1日目の大弛小屋まで思ったより時間がかかったのも不安要素でした。もう1泊増やす場合でも、将監小屋の次の小屋は雲取山荘になるため、結構ハードなルートです。特に不安だったのが、燃料となるガスの残量が少ないことでした。アルファ米を利用した食事ばかりを持ってきていたため、燃料が尽きると食べられるものが殆どありません。残量を確認せずに来たことを後悔しながら、あまり長引かせたくないという気持ちがありました。
2は後悔が残りそうなのと、短縮できるルートもそんなになさそうだったので選択肢から外しました。
そんなことを半分眠りながらボーッとテントの中で考え、結局雨が止むのを待たずに起床し、テントを畳んで出発しました。おそらく起床したのが6時すぎで、出発したのは7時前くらい。
気温は13度。雨の中テントを畳むのは億劫でしたが、寒くなかったのが救いでした。
写真からはわかりにくいですが、雨です。雨の森を探索するのも楽しいです。傍から見ると修行のようですが、僕は起床直後から体が元気なタイプなので、雨音をBGMに楽しく進めました。途中で真っ白いイタチのような動物を見かけましたが、すぐに何処かに行ってしまいました。
国師ヶ岳付近は残雪も多く、僕はチェーンスパイクで進みましたが、ストックもあったほうが安心だったとは思います。すでに他の人が踏み抜いたトレースに感謝しながら、道に迷わないように慎重に進みます。スピードがあまり出ないのが少し気がかりでした。
ちなみに出発後しばらく雨が止むことはなかったので、さっさと出発するのが正解だったなと思います。
残雪がなくなってくると同時に雨もやんできました。このまま甲武信ヶ岳に向かいます。これは向かう途中で見つけた木のコブ。樹瘤というらしいです。高級材とのこと。若干道に飽きてきたなと思いながら進んでいると、登りが始まります。途中の開けた場所からはとても良い景色が見れました。晴れたのも良かった。そのまま登っていると甲武信ヶ岳の山頂にたどり着きました。甲武信小屋もちょっと覗きましたが、このときもう12時。あとで振り返ると悪いペースではないですが、なるべく前に進む必要があるため、早めに次に向かいます。
ここからが地獄でした。甲武信ヶ岳から木賊山に進み、その後300m下ります。そしてそこから200m近く破風山を登り返します。木賊山を下っていると山が見えてくるのですが、
「あの山はなんだろうな」
「...まさかあれを登るんじゃないよな...?」
と途中からドキドキしながら下っていると、案の定登ることになります。これがまぁまぁ急登で、かなり体力を持っていかれました。悲しいことに山頂に眺望もありません。この登りが3日間で一番きつかったと思います。余談ですが、登山をしているときの距離感覚がいまだにちゃんと掴めていません。遥か遠くに見える山でも1時間後にはその山を登っているなんてことがザラにあります。不思議なものです。
破風山を越えてからの心は虚無です。道中であまり食事を摂らなかったのが災いし、体力的に結構きつかったので無心に雁坂峠に向かいました。
雁坂峠にたどり着いたのが15時。日本三大峠ということをそこにある看板で知りました。それにふさわしく眺望は抜群でした。しかし、このとき僕の頭にあったのは笠取小屋まで進むか雁坂小屋で泊まるかの判断のみ。地図を開いて確認したところ、笠取小屋までは3時間ほど。向かう途中は水晶山への登りもあります。さすがに厳しいと判断し、雁坂小屋でテントを張ることに決めました。なお雁坂峠から雁坂小屋まではそこそこ下ります。次の水晶山までは結構登ることも地図からわかったので、この下りを勿体ないと感じてしまいましたが、日没近くまで行動するリスクを考え、小屋まで下りました。途中で鹿に出会いました。
雁坂小屋は素晴らしい小屋でした。小屋の方もフレンドリーでしたし、しし鍋が最高に美味しかったです(下山後に知りましたが、いつでも食べられるわけではないそうです)。こんなにお肉を入れていいの?と驚くほどのボリュームで、合わせてビールも堪能することができ、思いがけない贅沢に心が満たされました。無理して進まなくてよかった。
まだ明るいうちに雨を吸ったテントや装備を乾かしながらテントを設営し、翌日の計画を経てます。雁坂小屋は最高の小屋ですが、ここまでしか進めなかったのが少し悔やまれます。
鴨沢まで降りようとするとコースタイムは(おそらく)14時間50分。4時に出ても到着は18時50分。距離は30km越え。雁坂小屋は電波が入らないため、鴨沢から奥多摩までの最終バスを調べることができず、これで帰れるのかもわかりません。下山しても帰れないとなったら最悪です。
加えてこのときの感情として、日が出る前に出発したくありませんでした。日が出る前は寒いですし、テントを畳むのにもヘッドライトが必要だったりでかなり億劫でした。
というわけで、以下の方針を決めて就寝しました。
- 無理に早起きしない
- 途中で電波が通じたら次のことを確認する
- 雲取山荘が予約無しでもテント泊が可能な場合、雲取山荘に泊まる
- テント泊が厳しい場合、飛龍山からエスケープルートに進んで帰る
飛龍山からのエスケープルートは、あまり有名なルートではなさそうだったため、道迷いのリスクなども考えてあまり取りたくない選択肢でした。そのため雲取山荘でもう一泊できれば良いなと思っていました(雲取山荘までも11時間以上かかるので、大変ではあるのですが)。
3日目
4時半に目が覚めました。とても寒い。寝袋の中は温かいのですが、地面やテントから冷気が伝わってきます。もぞもぞしながら外を確認すると、うっすらと雪が積もっていました。そういえば夜中に雨が降ってるな〜と寝ながら思っていたのですが、雪も降っていたようです。どうりで寒いわけです。もう少し寝ようか迷いましたが、なんとなく起きられたので朝ごはんの準備から始めます。テントに積もった雪を払いながら、自分の体温も上げ、5時45分頃に出発しました。
やはり起床直後は体力的に余裕があります。水晶山まで200mくらい登るはずですが、登山道がなだらかなこともあり難なく登ることができました。そのまま古礼山、燕山を越え、笠取山を目指します。笠取山が3日目最初の山場です。とはいえまだ元気だったので、ぐいっと登り切ることができました。このとき7時45分。良いペースです。しかしここから将監小屋までの時間が読めません。僕は奥多摩全域の登山地図を持参していたのですが、登山道が細かく分岐しており、結局どれくらい時間がかかるのか読めなかったのです。
将監小屋までの登山道はきつくはないものの、笹が生い茂っており道が所々わかりにくかったです。というか、実際に何度か道を見失いました。一度がっつりと道を間違え、方角を頼りに這い上がることになりました。この這い上がる動作はかなり体力を使うため、まだ余力のあった体力を一気に消費することになりました。幸いにも正しい登山道を歩いている方々が見えたので、自信を持って這い上がることができました(?)。
また道中では後方から大きな笛の音を何度も鳴らしているのが聞こえました。真意は定かではありませんが、熊がいたのかもしれません。音が聞こえるのは後方だったので、前に進めば問題ないだろうと判断して先に進みました。
将監峠にたどり着いてからは飛龍山に向かいます。笠取山から飛龍山までは、とにかく長い。距離が長いのはわかっていたことではありますが、いつまで前に進めば良いんだろうかという気持ちを抱えながら、それでも前に進むことしかできないので足を止めないようにします。途中で何度か他のハイカーに出会えたのが救いでした。ハイカーがいるということは今進んでいる道が正しいということです。
もちろんピンクテープは確認しながら進みますが、ほしい時にピンクテープがあるとは限らないですし、そもそもルートを間違えていたら絶対にピンクテープは見つかりません。そのためハイカーがいたときの安心感は非常に大きいです。
飛龍山に向かう途中で電波が確認できたので、雲取山荘や鴨沢の最終バスを確認します。幸いなことに雲取山層は予約無しでテント泊できることがわかったので安心しました。それに加え、ペース次第では鴨沢から帰れるのではないかという希望も見えてきました。雲取山から鴨沢までの下山は、登山地図を見た雰囲気と、自分はもともと下りが早めなので、巻けるのはないかという期待があったのです。鴨沢の最終バスは18:04 だったので、雲取山山頂に14時なら問題なし、14時30分でもたぶんいける、15時だとちょっと厳しい、という計画を立てました(このとき、雲取山からの下山コースタイムは4時間30分で考えていたのですが、単純な計算ミスで本当は3時間30分でした。なので14時30分山頂なら十分に余裕でした)。飛龍山からエスケープする選択肢はこの時点で消え去り、またすでにある程度巻けていたので、きっと鴨沢まで行けるだろうと希望を抱いて前に進むことができました。
飛龍山あたりから雲取山に向かう道もひたすらに長いです。コースタイムで3時間弱あるので当然です。しかしここまで来ると登りは雲取山が最後です。この最後の登りがまたキツいのですが、僕の中ではゴールが見えている感覚だったため、精神的な余裕がありました。
雲取山の最後の急登を「ラスボス」と称しながら登り、無事14時30分前に山頂に到着。チョコレートをつまみ、この時間なら鴨沢のバスには間に合うだろうと安心しました。とはいえこのときは時間を巻く必要があると思っていたので、14時35分には下山を開始しました。下山は読み通り、結構速いペースで進めそうです。登山道がとても歩きやすいため大股早歩き、たまに小走りしながら下山をしました。雲取山に着いてからはハイカーも多いので安心して速度を出せます。とはいえしばらく下山をしていると足が悲鳴を上げ始めました。縦走3日目、しかも今日は30km近くを歩いています。いつもであれば小走りできそうなところも、自重を足に乗せるたびに辛さを感じたので少し抑えめに下りました。この下りの道はかなり単調なため、延々と同じ道を進んでいるような感覚を覚えます。適当に思いついた音楽を脳内再生しながら、この曲はたぶん1曲5分くらいで、今大体2曲分を脳内で流したから10分くらいは下ったかなーなどと考えながら下りました。
もう最終バスには間に合うとわかったので、もう一本早いバスがないかを調べてみます。しかし18:04の一本前は16:08。さすがに間に合わないとわかったので、少し意気消沈しながら下山をしました。途中で何度か他のハイカーさんを追い越しましたが、どうせ同じバスに乗るのになんかすみません、と思いながら下山をしました。
そうして、17時ちょうどに鴨沢のバス停に到着。結局最終バスよりも1時間早く下山することができました。めでたしめでたし。
5時45分に出発して17時着なので、行動時間は11時間15分です。コースタイムがたぶん14時間50分なので、だいたい75%ほどになります。速いといえば速いですが、特にのんびりした記憶もないので気持ち的にはもう少し巻いていたかったですが、テントを背負ってるので仕方ない、と言い聞かせました。
バスに乗りながら奥多摩駅の日帰り入浴を調べてもえぎの湯を知り、ついでに奥多摩駅付近でご飯やさんも調べていました。奥多摩駅に到着し、期待に胸を膨らませながらもえぎの湯に向かっていると、おそらくもえぎの湯から帰ってきたお兄さんから「温泉に向かってるの?」と声をかけられました。はい!と答えると「もう入れないよ」と衝撃の言葉が。なんでも非常に混んでいるらしく、お兄さんが行ったときも40分待ち、そしてもう受付を終了してしまったとのことです。悲しい気持ちになりながら、近くにもう銭湯はないため諦めて青梅線に乗って帰宅しました。
感想
正直結構きつかったです、一方で楽しかったのも事実です。もう一度行きたいかと言われると今はNOですが。。。
今回自分が辿ったルートについて調べていたら、自分よりも長いルートを0泊2日とかいう狂気(褒め言葉)を見つけてしまった。
次回に向けて
- お湯がいらない食料を持参し行動食とする
- お湯を前提とした食事は移動中に摂取できないため不便。
- 2日目がきつかった理由はおそらく食事不足。行動中はアルファ米のおにぎり2個で乗り切ろうとしていたが、足りなかった。
- これまでほぼ行動食を持ち歩いたことがなく、今回多少お菓子を持参たけれど、バターやジャムの入った(カロリーの高い)パンを持っていくと良い。
- 飲み物も1日1リットル飲んでいないので、少なかったなと思うけれど、飲料はそのままザックの重さになるので悩ましいところ。
- 山小屋の売店が期待できる場合は、それを活用するのも作戦。
- ザックの重量を測る。できれば軽くする。
- テントを背負っているので仕方ないことですが、ずっときつかったのはザックの重さでした。なんとなく持参した10徳ナイフは小さいハサミで代用する、などの軽量化は必須だなと思いました。
- (できれば)時間のわかる時計があると良い
- スマホしかなかったので、取り出すのが億劫で時間を確認しなかった。どうせ前に進むしかないのであんまり変わらんけれども...
- せっかくなら、山荘を楽しむのも良いかもしれない
- 富士見平小屋、三条の湯、七ツ石小屋、甲武信小屋など、素敵な山荘が道中にはたくさんありました。たまには山荘を目当てに登ってみるのも良さそうだな、なんて思いました。
行程
5月3日
- 荻窪:5時40分発
- 韮崎:8:30着
- 瑞牆山荘:10時5分着
- 瑞牆山荘:10: 30発
- 大弛小屋:15:30 着
5月4日
- 大弛峠小屋:6:30 発
- 甲武信ヶ岳 山頂:12:00 着
- 雁坂小屋:15:00 着
5月5日
- 雁坂小屋:5:45 発
- 雲取山山頂:14:25 着
- 雲取山山頂:14:35 発
- 鴨沢:17:00 着